ちょっと郵便事故が起こりそうになって、さらにその郵便物だと思っていたものが貨物(荷物)として送られてきていたというところから、信書についてちょっと調べてみた。
続きもある
信書について-その2 - なんとなく
多分誤配送
マンションなどの集合住宅に住んでいるとエントランスに郵便受けがあってそこに郵便物やらポスティングチラシが入る。
何度か一升違いの部屋の方宛と思われる郵便物が間違って入っていたことがある経験を持つ方は多いと思う。自分宛てでなかったら、入れなおしてあげるという行為をすると思うけれども、郵便物を確認するのを怠っていて、ちょっと時間が経ってから自分宛てではないのものがあったりすると少し罪悪感に苛まれたりする。
今回は、おそらくその逆が起こって、いついつまでに届くとされていたものが届かないということが起こった。結局、数日後には届いたので、おそらく誤配が起こって、間違えて入れられた方が気づいて入れなおしてくれたのだと思う。
中身を知られたくないものを誤配送されるとモヤモヤするよね
病気のため、健康保険組合から保険給付費支払通知書を定期的に受け取っている。その支払通知書がおそらく誤配された。
普段の通知書には傷病名はないが、今回のには一部不支給だったため、その書類もあり、それには傷病名が記載されていた。
近所の人に傷病名を知られるのは嫌だし、健康保険組合から保険給付費支払を受け取っているのも知られたくない。
守られるか?
中身を見られては困るようなもののやりとりについて、法律では保護されるのか調べてみた。いろいろ調べたところ、郵便物は郵便法で守られるようだ。そして、守られるものは「信書」のようだ。これによって通信の秘密が保護される。よく、ヤマトのメール便でこれは信書ではありませんというのにチェックを入れるのだけれども、メール便は信書ではなく貨物(荷物)扱いのようだ。荷物には通信の秘密を守るための仕組みがないので、配送業者は開封しても法には問われないようだ。
信書を送達できる者は、郵便法及び信書便法により、郵便事業株式会社と総務大臣の許可を受けた信書便事業者に限られているようだ。(独占的ではないかという指摘はあるようだ。)
ガイドブックがPDFであった。
http://www.soumu.go.jp/yusei/pdf/100628_01.pdf
信書とは
では、その通信の秘密が保護される信書というものの定義はどういうものなのだろうか。総務省のホームページにガイドラインがあったので、そこから引用する。
「信書」とは、
総務省|信書便事業|信書のガイドライン
「特定の受取人に対し、差出人の意思を表示し、又は事実を通知する文書」と郵便法及び信書便法に規定されています。
とある。
信書について具体的にも記述されていて、
信書に該当する文書
■書状
■請求書の類
【類例】納品書、領収書、見積書、願書、申込書、申請書、申告書、依頼書、契約書、照会書、回答書、承諾書、◇レセプト(診療報酬明細書等)、◇推薦書、◇注文書、◇年金に関する通知書・申告書、◇確定申告書、◇給与支払報告書
■会議招集通知の類
【類例】 結婚式等の招待状、業務を報告する文書
■許可書の類
【類例】 免許証、認定書、表彰状
※カード形状の資格の認定書などを含みます。
■証明書の類
【類例】印鑑証明書、納税証明書、戸籍謄本、住民票の写し ◇健康保険証、◇登記簿謄本、◇車検証、◇履歴書、◇給与支払明細書、◇産業廃棄物管理票、◇保険証券、◇振込証明書、◇輸出証明書、◇健康診断結果通知書・消防設備点検表・調査報告書・検査成績票・商品の品質証明書その他の点検・調査・検査などの結果を通知する文書
■ダイレクトメール
文書自体に受取人が記載されている文書
商品の購入等利用関係、契約関係等特定の受取人に差し出す趣旨が明らかな文言が記載されている文書
信書に該当しない文書
■書籍の類
【類例】新聞、雑誌、会報、会誌、手帳、カレンダー、ポスター、◇講習会配布資料、◇作文、◇研究論文、◇卒業論文、◇裁判記録、◇図面、◇設計図書
■カタログ
■小切手の類
【類例】 手形、株券、◇為替証書
■プリペイドカードの類
【類例】 商品券、図書券、◇プリントアウトした電子チケット
■乗車券の類
【類例】 航空券、定期券、入場券
■クレジットカードの類
【類例】 キャッシュカード、ローンカード
■会員カードの類
【類例】 入会証、ポイントカード、マイレージカード
■ダイレクトメール
専ら街頭における配布や新聞折り込みを前提として作成されるチラシのようなもの
専ら店頭における配布を前提として作成されるパンフレットやリーフレットのようなもの
■その他
◇説明書の類(市販の食品・医薬品・家庭用又は事業用の機器・ソフトウェアなどの取扱説明書・解説書・仕様書、定款、約款、目論見書)、◇求人票、◇配送伝票、◇名刺、◇パスポート、◇振込用紙、◇出勤簿、◇ナンバープレート
とある。
差出人から指定した受取人に対して、
- 差出人の意思を伝える文書
- 事実を伝える文書
が信書のようだ。
文書も定義されていて
「文書」とは、
文字、記号、符号等人の知覚によって認識することができる情報が記載された紙その他の有体物のことです(電磁的記録物を送付しても信書の送達には該当しません。)。
とある。CD-ROMとかに焼いて送っても信書ではないようだ。
総務省に聞いてみた。
では、今回おそらく誤配されたものについて見ていこうと思う。(なかみは無理だけど封筒だけなら公開できる。。。)
画像のように
消印には、料金後納郵便ゆうメールとある
封筒の添え書きに「保険給付費支払通知書在中」とある
年金に関する通知書は信書であるようなので、ゆうメールで送ることは郵便法第4条違反ではないだろうか?
総務省情報流通行政局郵政行政部郵便課(03-5253-5975)に問い合わせてみた。
即座に「保険給付費支払通知書は信書」との回答だった。通知する文書なのだから当たり前だろ的なニュアンスだった。
そして、ゆうメールは貨物なので信書は送れないとのことだ。郵便法第4条違反だとのこと。
もう一つ、違反状態でもし誤配送が行われた場合、法的に守られるかというのを聞いたら、貨物なので守られませんとのこと。
そこで、この状態を改善するように何かしてもらえるかを確認した頃、
最寄りの警察の生活安全課に相談するか総務省情報流通行政局郵政行政部郵便課に郵送で信書なのにゆうメールで送られている証拠(個人に関する情報や機微情報は塗りつぶしてもいい)を添えて改善指導を依頼してほしいとのこと。
数カ月前、おそらく誤配送が起こった時に、健康保険組合に郵便で送ってほしいと依頼したけど、信書とは考えないので、ゆうメール送るのは問題無いと回答を得た。そこで、総務省のHPみて改善してほしいとお願いし、検討するかもしれないと回答を得た。しかし、今月も同様の方法で保険給付費支払通知書が送付されてきたので、改善指導を依頼しようと思う。
改善指導を依頼した続きもある
信書について-その2 - なんとなく
まとめ
何もなければ、法令遵守と喧しく言いたくないけど、おそらく誤配されたということが起こった以上、この法律を守ったほうがいいと強く言いたい。
今回のように受信するばかりでなく、逆に送信する立場になる時もあると思うが、その際も通信の秘密が守られるように(信書の定義が曖昧で、周知されていないのも問題ではあるのだが)対応したいと思った。信書で送られたからといって、誤配で損害を被った場合に保証を受けられるというわけではないが、誤配されて特別な理由がなく開封するという行為は違法行為で、親告すれば罪に問える。ルールとしてみんなが守ることで通信の秘密が守られる。
紙文化はなくならないものだ。TCPの通信のように相手からの応答を待って通信を確立してからやりとりが出来るわけではないので、誤配は起きる。相手に差出人の意思を通知する文書をやりとりする際に通信の秘密をどう守るか、きちんと制度設計されているのだから、それに則るのはごくごくアタリマエのことで、郵便よりも安価であったり、早く着いたりという目先のことではなくルールを守るということが必要なのだと思った。なにか起きた時のリスクは少々安価なものを選んで結局高く付くことにもなりかねない。