さる2014/08/28にАлексей Макаревичが亡くなったようなので、彼の音楽に揺さぶられた人間として追悼の意を込めて思い出を綴りたいと思う。
それは突然のことで
ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破が放映されていたせいもあってTLの流量が多いなぁと思っていたら、突然以下のツイートが流れてきた。
Умер создатель группы "Лицей" Алексей Макаревич http://t.co/H72KgKc1oU
— Интерфакс (@interfax_news) 2014, 8月 29
日本語にすると「リツェイというグループの作成者アレクセイ・マカレービッチ死す」という感じなのですが、それに対して
うわぁ、Алексей Макаревич逝ったのか。
— 中村竹七 (@Takeshich) 2014, 8月 29
とリンク先を確認してつぶやきました。突然のことでとてもびっくりしました。9/2が誕生日だったようで、60の坂を登れず、59歳だったようです。ちょっと早い気はしますが、ロシア人の男性の平均寿命は63歳なので相応なのかもしれませんが、悲しいです。
Алексей МакаревичとЛицейについて
おそらく、Алексей Макаревич(アレクセイ・マカレービッチ)がどういう人で、Лицей(リツェイ)というグループが何かを知る日本人は殆どいないと思いますので、そこから触れていきたいと思います。
Алексей Макаревич(アレクセイ・マカレービッチ)は、Лицей(リツェイ)のプロデューサでした。Лицейの曲のうちほとんどは彼の作曲で、半分程度は作詞しています。1979-80年頃はВоскресениеというグループで活動していました。Машина времениのАндрей Макаревичとは兄弟です。といっても、ロシアの音楽に詳しくないと意味不明すぎるかも。Лицейは1991年に作ったようです。彼について詳しくはロシア語なのですが、wikipediaを参照いただければと思います。
Лицей(リツェイ)は、1991年に、メンバーはАлексей Макаревич(アレクセイ・マカレービッチ)の娘のАнастасия(アナスタシア)をリーダーに他二人で彼によって結成されたガールズ・ロック?なグループです。 1991年からおそらく今もあるのだと思う。リーダーのАнастасияは変わらずだったのだけど、ほかの二人はいろいろと変わって、2002年ごろからがАнастасия産休に入ったりして、あんまり活動はしていなかったようです。私も追っていたのは、2000年代前半ぐらいまででした。 詳しくは、Лицей (группа) — Википедияに書いてあります。ロシア語ですが。
私との関わり
大学時代に第2外国語としてロシア語を選択し、どういうわけかロシア人の先生と仲良くなって、カセットテープをもらうなどして、ロシアのロックにはまっていきました。何度かロシアを訪問して、どっぷりロシアにはまっていました。ウラジオストックに滞在していた時にロシア人にどういう音楽が流行っているのかというのを聞いて、CDショップに行って試聴して、いいなと思ったアルバムを買ったりしました。その中にЛицейのファーストアルバムの「Домашний арест」がありました。
Domashnij arest (Домашнии? арест)
- アーティスト: Licey (Лицеи?)
- 出版社/メーカー: Symbolic/FMP
- 発売日: 2009/03/01
- メディア: MP3 ダウンロード
- この商品を含むブログを見る
日本に帰ってきてからも、CDを聴いていました。当時はやっとインターネットが普及し始めた頃で、検索エンジンもあまりなかったのですが、いろいろと検索したり、音楽ファイルをダウンロードしたりして、情報を集めていました。
再度、ロシアに行った時は買いたいアルバムリストを作って、アルバムをたくさん購入しました。セカンド「Подруга — ночь」とサード「Открытый занавес」のアルバムが入手できず悶々としていました。しかしながら、4th「Паровозик-облачко」,5th「Для тебя」は入手でき、5thはそれらのライブ盤だったのでほぼ補完はできていました。日本に帰ってからもいろいろと入手方法を探したのですが、当時は通販サイトもあまりなく在庫もなかったようで入手できずじまいでした。
2000年代になって、ロシアのCDの通販を日本で行っているところでも6th「Небо」,7th「Ты стала другой」は扱っていたので購入しました。 大学を卒業し、ロシア語をあまり勉強しなくなったし、Лицейに関する情報もあまり入ってこなくなったので興味が薄れていました。CDもロシア音楽好きの友人に譲ってしまったので、手元にありませんでした。つい最近まではあまり聴いていませんでした。
去年よりMusicUnlimitedというサービスに加入したのですが、Лицейのアルバムが聴けるようになっており、久しぶりに聴いたらロシア語を勉強していた当時のことを思い出して、とても懐かしくなりました。
学生時代にハマったロシアのガールズバンド(Лицей)とそのプロデューサー(Алексей Макаревич)ってことです。
ソングブック
最近、掃除をしていたらЛицейのソングブックみたいなのが出てきました。おそらく大学生の時に日本でロシア音楽を取り扱っていた通販サイトから購入したものだと思うのだけど、忘れていたので突然見つけて、ああこういうものも購入したよなと思いました。
表紙が時代を物語ります。 そして、表紙をめくるとАлексей Макаревичが微笑む。
Осеньの楽譜はこんな感じ。
Осеньつながりで思い出して、そういえば、ОсеньのPVってシュールだったよなと思ってyoutubeを当たってみたけど、記憶の改竄が行われていました。。。
当時見て、マスクビッチに乗って、最終的に爆破っていうシュールなPVっていう記憶が勝手に出来上がっていたのだけど、見なおしたら全然違ってましたねw
おすすめのリスト(MusicUnlimitedでのリストを作った)
カセットテープでオリジナルなアルバムを作ったりしたように、Лицейでオリジナルのプレイリストを作ってみました。
Алексей Макаревичを偲んで - Music Unlimited
曲名 | 勝手に邦題 | 収録アルバム | 再生時間 | |
---|---|---|---|---|
1 | Осень | 秋 | Открытый Занавес | 4:30 |
2 | Расставание | 別れ | Паровозик-облачко | 4:25 |
3 | Новогодняя | クリスマス | Паровозик-облачко | 4:08 |
4 | Субботний Вечер | 土曜の夕方 | Домашний арест,Для тебя | 4:40 |
5 | Небо | 空 | Небо | 4:20 |
6 | Высокий блондин | 背の高い金髪の男の子 | Домашний арест | 5:23 |
7 | Лей, Дождь | 雨よ、降れ | Ты стала другой | 4:00 |
- 1~5は、Алексей Макаревичが作曲した曲で、個人的に好きなもの。
- 6,7は彼が作曲したわけではないが、Лицейの曲で好きなものです。
今回追悼の意味も込めてアルバムで聴けるものを聴き直しました。以下に簡単に解説を添えます。
Осень -日本語で季節の秋の意味。3rdアルバム「Открытый Занавес」に収録されています。おそらくЛицейで一番有名な曲でしょう。日本でロシアのカラオケを歌う機会があったのだけれどもこの曲はあったからという理由です。 歌詞の内容は彼氏にふられた女性がちょっと切なに秋そして冬という季節を感じ、境遇を重ねていくという内容だと思います。
Расставание -日本語で別れの意味。4thアルバム「Паровозик-облачко」に収録されています。4thアルバムは1stアルバムと同じぐらいЛицейのアルバムでは聴き込んだので思い入れが強いです。 歌詞の内容は友達との別れを歌った歌だと思います。
Новогодняя -日本語でクリスマスの意味。4thアルバム「Паровозик-облачко」に収録されています。ロシアはロシア正教でクリスマスは新年過ぎてからです。 なんだか時系列がよくわからなくなる感じですが、サビのメロディーが印象的で今でもときどき口ずさんでしまうほどです。内容はクリスマスについてです。
Субботний Вечер -日本語で土曜の夕方の意味。リストに入れたのは5thアルバムの「Для тебя」に収録されているLive版ですが、ファーストアルバムの「Домашний арест」にも収録されています。今回、聞き直したら5thアルバムの「Для тебя」の1曲目に収録されていて、若いエネルギーを感じる歌でした。最も聞いていた時はそんなに感じなかったけど、聞き直したら「若いなぁ」と思いました。内容は土曜日の夕方の5時近くに若い力を持て余しているようなものだと思います。
Небо -日本語で空の意味。6thアルバムの「Небо」に収録されています。つい空を見上げたくなる曲です。ロシア語の勉強をしていた青森の広い空を思い出します。よく聞いていたのは東京で働き始めた頃なので高く遠い空に思いを馳せていた自分にこの歌を重ねていたのかもしれません。
Высокий блондин -日本語で背の高い金髪の青年の意味。ファーストアルバムの「Домашний арест」に収録されていて、流れるメロディーと中高生の頃の甘酸っぱい恋心を歌った歌詞がとても印象に残っているし、Лицейで最初に買ったアルバムだから、繰り返して聴いて刷り込まれたのかもしれない。ジュブナイルもの好物なのかもしれないな。
Лей, Дождь -日本語で雨よ、降れの意味。7thアルバム「Ты стала другой」に収録されています。これを聞いていた時はすでに働いていて仕事がきつく、深夜に帰ってきてシャワーを浴びる度に口ずさんでました。内容も遠くにいる彼のことを思いながら、自分を勇気づける内容だと思います。
リストにある以下同名の2曲は、どうやら大元がВоскресениеがオリジナルで、それをЛицейがカバーしたもののようです。今回、Воскресениеのアルバムを数枚聞いてみて、はじめてВоскресениеの曲だったのだと気が付きました。
- Радуюсь(Воскресение)
- Радуюсь
- Хороший парень(Воскресение)
- Хороший парень
総じて、個人的にポップで耳障りの良い曲が好みなのかもしれません。
いい時代になったね
世の中は便利になるもので、CDを頑張って購入した当時は想像もつかないことでしたが、今、ストリーミングで昔聴いていた曲を聴き返せるのはよいですね。手に入れることのできなかったアルバムの曲を聴くことができるのもよいです。ホントそういう時代になったわけだと痛感しました。
さらに関連する情報をあたって資料のようにも使うことができます。上述しましたがАлексей Макаревичが1979-80に所属していたВоскресениеのアルバムをMusicUnlimitedで聴いたらЛицейのアルバムでも使われている曲があって源流はここなのかと気が付きました。そして、もっと早く(ロシア語を勉強している当時に)Воскресениеのアルバムを聴いていたらなあと思いました。
Алексей Макаревичの哀愁を帯びた曲やさわやかな曲がとても好きなのに、新しい曲がもう聴けないのかと思ったらなんだか寂しいです。素晴らしい曲をありがとう。